父の死

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昨日父が天国へ旅立った。

享年88歳でした。

60歳の時にこれからは旅行をしたり絵を描いたりして過ごしたいと、取締役である会社を突如辞めた。気ままな生活を送る事15年。

13年ほど前に脳梗塞でお風呂場で倒れた。

幸い一命を取り止めリハビリで日常を取り戻す事が出来た。しかし、そこから生活は一変した。

 

全てに臆病になり極端に外出を嫌い、自宅のテーブルの右奥が特等席となった。

旅行どころか絵を描くことも外食も車に乗る事すら嫌がった。

自分の兄の葬式にも出なかった。

お袋からも「ただ生きてるだけで何が楽しいのかしら」と言われる始末。

 

ここ1年での衰えは顕著で特に下の失敗が多かったという。

それでも本人はプライドがあるのだろう、オムツを嫌い、粗相を隠そうとするのがまたタチが悪い。

今年の1月の88歳の誕生日にはニコニコしていたのだが2月に入院した時にはもう父親の面影はなかった。

複数の脳梗塞、糖尿病、アルツハイマー、目も殆ど見えていないという。

お見舞いに行っても「お前は誰だ?」と言われる。

そしてコロナの影響でお見舞いも禁止になった。

 

今父との思い出を振り返ってもあまり無い。

私が幼稚園の時の運動会で肩車をしてもらった事や小学校低学年の時の家族旅行で湯河原に行った事位がうっすらとあるレベルだ。

仏壇を置くスペースを作るために整理をしていたら私の娘の写真や肖像画が沢山出てきた。

愛してくれていたんだなと感謝しかない。

天国で絵を沢山描いてゆっくり過ごして下さい。