悪い夏 読了

f:id:orangechango:20210122135755j:image染井為人の小説です。登場人物像全員が不幸な人たち。登場人物の概略を書きます。

佐々木 市役所に勤めるケースワーカー。同僚の高野が担当ケースの愛美を脅し、肉体関係を強要し生活保護の増額から現金をキックバックさせている事を知り愛美に同情して愛美に恋をする。しかし愛美にはめられバイアグラだと言われて飲んでいたのはMDMA。そしてヤクザの金本にシャブ中にまでされてたった一夏で落ちるところまで落ちた。

山田 佐々木が担当しているケース。普通のサラリーマンだったが、すこしづつ歯車が狂い今は生活保護の不正受給者。そしてやくざの金本の駒使いをさせられMDMAの売人もやらされている。愛美と佐々木を使い一儲けしようとして金本にばれることとなる。

愛美 高野が担当している生活保護を不正受給しているシングルマザー。高野に脅されていることを金本に話し、高野を沈めた。次に心配してくれている佐々木をはめるつもりだったが佐々木の誠実さに恋心を抱くようになる。しかし金本に脅かされ佐々木をMDMA中毒にしてしまう。

美空 愛美の娘4歳。愛美が育児放棄しているので自分自身に閉じこもり、一人で絵をかくことに没頭する。唯一佐々木にだけ心を許した。

金本 暴力と精神的に追い込む凶暴なやくざ。愛美から高野に脅されていることを聞くと隠しカメラで愛美と高野の行為を録画し追い込む。当初浮浪者をたくさん集め生活保護の上前を撥ねるという新たなシノギを計画するが、役所に高野の行動がばれてしまい、断念。ターゲットを佐々木に変更するが極度のシャブ中にまでしてしまい、結果計画は破綻する。

高野 佐々木、宮田と同僚のケースワーカー。担当の愛美がセクキャバで働いているところを客として遭遇し、生活保護を打ち切ると脅し肉体関係を強要する。さらに支給額を増額させキックバックさせていた。金本から半殺しの目にあい、不正受給者を増やす計画の実行を求められるが、同時に役所にも高野の悪行がばれてしまい、退職し計画はとん挫する。その後は家族にも見放され金本の駒使いとなる。

宮田 佐々木、高野の同僚の女性ケースワーカー。正義感の塊のようなタイプだが実は高野と不倫関係にあった。

莉華 チンピラみたいな女。愛美の友達を装うが、常に脅したり利用したりする。2歳児のシングルマザー。金本と付き合っていると思っている。

以上が主な登場人物です。誠実な佐々木がはめられあっという間に廃人同様にまで落ちていく姿は読んでいて辛かった。救いは定期的に絵が届くこと。おそらく美空なのだろう。