落車の怪我から復活を目指すイネオスのエース、クリス・フルーム。イネオスはスーパースター軍団で昨年はエースとして臨んだツールドフランスでチームメイトの若干22歳の新星ベルナルが総合優勝し、つらい立場に追い込まれました。グランツール総合優勝7回のこの大エースはトーマスやベルナルなどエースが3人もいる体制に追い出されるかのように来年からイスラエル・スタートアップネイションに移籍が決まりイネオスとして走るのは今回が最後でしょう。今年、チームはツールドフランスはベルナル、ジロデイタリアはトーマス、ブエルタエスパーニャはフルームと3人のエースを分散させました。しかし、ツールドフランス連覇を狙うベルナルは体調不良なのか調子が上がらず中盤でリタイア。エースを失いアシストをする必要のなくなったイネオスの選手のその後の活躍はすごかった。ジロデイタリアではトーマスは第3ステージスタート早々、集団の中で誰かが落としたボトルを踏んでしまい落車。その日は走り切ったが骨折が判明してリタイア。それでも最後に逆転でイネオスの勝利で閉幕。ブエルタエスパーニャではいよいよエースとして乗り込んだフルームがなんと第1ステージではやくも10分以上遅れて総合争いから離脱という世代交代を感じさせる展開となった。ところが徐々に調子をつかんできたのか集団内で走れるようになった第6ステージでなんとフルームがチームのサポートカーからウインドブレーカーを沢山受け取り自身のお腹の中に詰め込んでいる。チームメイトのために自ら献身的にウインドブレーカー配達係をやっているのだ。現役選手の中で誰よりも輝かしい実績を持つフルームがウインドブレーカー配達係をやっているのは衝撃的でした。もう一度あの圧倒的な速さを取り戻してほしい。
