舟を編む

f:id:orangechango:20210130155201j:imageprime Videoを徘徊していたら三浦しをんの小説「舟を編む」の映画があったので観ました。この物語は本や言葉が大好きだけどコミュニケーションが苦手な松田龍平演じる馬締が、15年の歳月をかけて一から辞書づくりをする物語。その辞書は「大渡海」と名付けられて現在使われている「ら」抜き言葉や本来の意味とは違う意味で定着してしてしまった言葉、俗語、若者言葉なども掲載する。小説では読んでいたのですが、映画もすごく良かった。世界は言葉の海で溢れていて、辞書はその海を渡る舟だから「大渡海」。主人公馬締が物語の中で成長している感じは映像だから伝わるし、加藤剛演じる辞書作りに全てを捧げた監修者が大渡海の出版まで間に合わず亡くなってしまったところでは涙が出ました。そしてトラさんという馬締が住む趣きのある下宿に現れる野良猫の演技がとても良い。観てよかった。しかし、原作者の三浦しをん氏って凄いなと思う。「風が強く吹いている」では大学駅伝の箱根駅伝を細かく描写したかと思うと「舟を編む」では辞書作りの工程を細かく描写している。あらゆる方面の知識の塊なのである。尊敬するべき作家なのです。