君が夏を走らせる

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中学生の駅伝をテーマにした瀬尾まいこの小説『あと少し、もう少し』での登場人物の太田君の高校生活のある夏のお話です。

太田君は小学生で算数についていけなくなり、中学生では札付きのワルになっていました。でも駅伝大会に出るチームに助っ人として誘われて走る事になる。元々足は速いしとても不良生活では味わえない充実感を得られました。高校でも陸上部に入ったものの、ワルばかりが集まる高校では部活など全く機能しておらず、辞めてしまいただ毎日が無駄に過ぎていくだけであった。そんな夏に不良仲間の先輩から1歳10ヶ月の子供の面倒を見てくれと頼まれる。先輩は高校を中退後、ちゃんと働き、素敵な人と結婚して女の子の子供を持ち、もうすぐ二人目が生まれるという。その奥さんが約1ヶ月入院する為に先輩が仕事に行っている間の子供を見てほしいと。出来るわけが無いと断ったが強くお願いされたので渋々引き受ける。その夏の格闘、子供との触れ合い、愛情の物語。最初は大泣きして嫌がった子供とだんだん信頼関係が出来て、一緒に過ごす時間が毎日の生き甲斐になって子供に喜んで貰える様に工夫して。見た目やしゃべり方は不良だけど人間は全然不良なんかで無くてとても優しい太田君。私自身の子育ての時の数倍子供に真剣に取り組んでいて、少し自分が恥ずかしくなる。15年前に読んでいたら良かったな。と思いました。

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